アレルギーについて
意外と知らないアレルギーについてお答えします。
アレルギー反応
"はしか"や"水ぼうそう"などの病気は、一度かかるとほとんどの場合、二度とかかることはありません。
なぜかかることがなくなるのでしょうか?
それは、人間の体(生体)が、体内に入った病原体のような異物(抗原)に対して自分を守るために抗体というタンパク質を作るからです。 そして再び抗原が体内に入ってきても抗体により抗原は排除されるからです。 これを免疫反応と呼んでいますが、時に異常な反応が起きて生体にとって不利益になることがあります。
これをアレルギー反応と呼びます。
つまり、アレルギー反応は免疫反応の出来の悪い兄弟といえます。
アレルギー反応によって起きる代表的な病気には、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショック、 自己免疫性溶血性貧血、全身性エリトマトーデスなどがあります。他に花粉症もアレルギー反応によって起こる症状です。
アレルギー反応が起こりやすい体質の人に、外部から抗原が侵入し、その抗原に対して抗体が出来てアレルギー反応が起こるわけです。 アレルギー反応を起こさせる抗原をアレルゲンと総称しています。アレルゲンには色々な種類があり、人それぞれ異なっています。
アレルゲンの種類
乳幼児期のアレルギーは、たまご、牛乳、小麦粉などの食物が中心ですが、年齢とともにダニ、ホコリなどによるアレルギーが増加してきます。
- 成人に多いアレルゲン
ハウスダスト
ハウスダストとは、家の中の塵やホコリなどのことを言い、ダニの死骸やフン、ペットの毛なども含みます。室内の綿ホコリは2~3日も掃除しないと部屋の隅にたまってきます。それらホコリの多くは寝室のふとん、カバー、毛布などから発生するホコリです。
肉眼では見えないハウスダスト。
赤外線カメラで見ると、ふとんのホコリやダニが煙のように空気中を漂っていて、私たちの身体の中に入ります。気管支喘息、アトピー性皮膚炎などの原因のほとんどがこのハウスダストによるものです。
ダニの発生と繁殖
ダニは屋内、屋外どこにでもいますが、人が快適と思う空間はダニにとっても快適で、繁殖しやすい環境です。
たとえば、部屋の温度が25~30度、湿度が60~80%のとき、ダニは喜んで増え続けます。夏場は湿度を50%以下、冬場は温度を20度程度に維持することがベストです。普段から通気性のある空間を作ることに心がけると良いでしょう。
- ダニの繁殖はこんな時
- 室内の温度:25~30度
- 室内の湿度:60~80%
- ダニを繁殖させないベストな環境
- 夏期 室内の湿度:50%
- 冬期 室内の温度:20度くらい
ダニの種類
一般家庭から検出されるダニの種類は多く、約100種類にものぼります。
その中でもチリダニ、イエササラダニ、ツメダニの3種類が多く、特に鼻炎や気管支喘息、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の原因が室内塵中のチリダニ類(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ)にあると指摘されています。
また、コナヒョウダニとヤケヒョウダニは室内塵中に生息するダニ類の60~90%を占め、寝具、布製品(イス、ソファー、ぬいぐるみ他)、たたみ、カーペットなどのハウスダストに生息しています。
一般家庭に生息するダニ類とその種類
亜目名 | 種類 | 主な生息場所 | 被害 |
---|---|---|---|
無気門亜目 | <チリダニ科> コナヒョウダニ ヤケヒョウダニ イエチリダニ |
たたみ、カーペット、寝具類、衣類、ぬいぐるみなどのハウスダスト中に生息 (湿度に対する適応性が大きい) | アレルギー性気管支喘息、鼻炎、皮膚炎、眼アレルギー |
ケナガコナダニ | たたみや保存食中に生息 (温湿度の適応範囲小、湿度80%以上で大発生) | 皮膚炎、不快感、食品の品質劣化 | |
前気門亜目 | <ツメダニ類> ケラカロプシス属 フトツメダニ ミナミツメダニ |
たたみ、カーペットなど (建築後2~3年の住宅に発生しやすい) | 刺咬による発赤、かゆみを伴う発疹 |
ナミホコリダニ | 寝具中に生息、カビを好んで食べる | ||
中気門亜目 | イエダニ | ネズミの体や巣に生息 | 人を刺して吸血、発赤、皮疹 |
フツウマヨイダニ | ハウスダスト中に生息 | ||
隠気門亜目 | イエササラダニ カザリヒワダニ |
新築の家屋、湿度の高い家屋、カビを好んで食べる |
コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ、イエチリダニ
ケラカロプシス属、フトツメダニ、ミナミツメダニ
アトピー性皮膚炎の語源
「アトピー性皮膚炎」という病名は、1928年アメリカ人医師"ザルツバーガー"が命名しました。
ギリシャ語で『原因不明』とか『不思議な』皮膚炎という意味です。当時は原因不明の病気だったんですね。 しかし、近年アレルギーの発症メカニズムの重要なところが解明され、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などの原因が徐々にわかってきています。